[7巻] 警視庁公安部・片野坂彰 禁書の解錠
文藝春秋
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濱 嘉之
物語の幕開けは、ドイツ・ミュンヘン。オクトーバーフェストでにぎわう街角で、EU域内の東京出先機関に籍を置く天才ハッカー・白澤と、警視庁公安部付特別捜査班を率いる片野坂彰が再会する。
ふたりの会話は、与党と宗教団体の微妙な関係、解散総選挙の思惑、都庁人事にまつわる噂など、政と官が交錯する現実味のある話題へと及ぶ。白澤自身の異動をめぐる動きも絡み、権力と警察組織の境界線のあいまいさが浮かび上がる。
一方、警視庁公安部では「チーム片野坂」がわずか5名という少数精鋭で多岐にわたる任務を抱え、片野坂自身が庶務までこなす過酷な状況に置かれていたことが問題視されていた。そんな折、白澤が極秘情報「i-SOONデータ」を奪取したことを明かす。
そこには、ロマンス投資詐欺や暗号資産を利用した国際的な詐欺ネットワークの実態が記されていた。中国人女性になりすましたグループが、1500台ものスマートフォンと「微信(ウィーチャット)」を駆使して偽のプロフィールを量産し、30〜50代の女性を狙って資金を吸い上げていく。奪われた金は、半グレや国際犯罪組織の資金源として循環し、個人の被害にとどまらない社会的脅威へと拡大していく。
話は、政治家夫妻の選挙違反事件、宗教と政権の結びつき、中国経済の失速、暗号資産業界の崩壊などにも及ぶ。個々の詐欺事件が見えない糸でつながり、国家の基盤を静かに侵食していく様が、公安の視点から緻密に描かれていく。
政治、宗教、経済、そしてデジタル犯罪が複雑に絡み合う現代の闇に、公安の5人がどう挑むのか。スリリングで重厚な展開が待ち受ける、「警視庁公安部・片野坂彰」シリーズ第7弾。現代日本を照らし出すスケール感と、濃密な会話劇が堪能できる一冊。
天才ハッカー白澤が奪取した中国企業の未公開データ。それは共産党のサイバー犯罪と地方政府の腐敗を暴く現代の〝禁書〟だった。一方、限界を迎えた5人体制を刷新するため、片野坂は組織の拡大を決断。精鋭が集う新チームが、世界を欺く偽情報の源流に迫る。公安部シリーズでしか読めないインテリジェンス戦争、その最前線。©2025 濱 嘉之/文藝春秋 (P)2026 Audible, Inc.
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